iTunes Storeでオリジナル曲を売る方法。
最近、個人がiTunes Storeで曲を売る方法を求めてかごおたに流れ着く人が増えたので、比較的簡単な方法でiTunes Storeで曲を売る方法と注意点を、さらっとまとめました。
同じ内容は「アイフォーンゲームズ個人開発者互恵会鹿児島支部(仮)」のネタにもする予定。
ま、参考までにどぞー。
2008/11/30追記:
中間業者の比較を求めている人はとりあえずこっちへ誘導
◯まずは中間業者選び。
個人がiTunesStore(以下iTS)と直接契約する事はまず不可能なので、個人がiTSで曲を売る場合はiTSと配信契約の代行をしてくれる中間業者(アグリゲータとかディストリビュータなどと呼ばれています)を探さなくてはなりません。
国内の個人向け代行業者は一曲あたり3,000円から7,000円の登録代行料金を要求するところが多いようです。一方、海外では一曲あたり2$程度からの業者も珍しくなく、今回はアルバム一枚あたりの総費用が1万円程度ですむアメリカのインディーズアルバム販売代行業者「CD Baby」を利用する事としましょう。
念のために言っておきますが、この記事は「CD Baby」の利用を促すものではありません。実際の利用は契約内容などをよく読んで、個々の責任で御願いします。
わたしに苦情とかいわれても困るよ><
「CD Baby」を選ぶ理由の一つは費用の安さもありますが、もう一つの理由として支払われる原盤使用料の高さと契約の柔軟さがあります。
国内の個人向け中間業者が楽曲の著作権者に支払う原盤使用料は中間業者がiTSから受け取る売上金のうちの20%前後から60%ほどです。
一方で「CD Baby」の場合は(原盤使用料に相当する卸売価格の)91%がアーティストへ支払われます(デジタル配信の場合)。為替の差損や代金の受け取りに用いるPayPalの手数料を差し引いても、たいていの国内の中間業者よりも多くのお金を手に入れる事が出来るはずです。
契約の柔軟さについては「CD Baby」のサイトや「CD Baby Japan」のサイトをよく読んでもらえればわかると思います。一般的に、国内の業者でこれだけ柔軟に対応する業者はまれです。
「CD Baby」との契約は「CD Baby Japan」経由でも可能です。日本語でのサポートもあるので、英語にめがっさ自信がある方以外は、「CD Baby Japan」経由で販売契約・登録された方が良いでしょう。
◯CD Babyでの費用
・登録費用
「CD Baby」では一枚のアルバムにつき35$が販売代行の費用として発生します。わたしの場合はクレジットカードで支払い。PayPalでの支払いにも対応しています。
クレジットカード払いに不安のある方は「CD Baby Japan」が銀行振込に対応しています。この場合は¥5,250です。
更新料などはありません。35$払えばそれっきりです。デジタル配信のための追加費用もありません。
アルバム一枚あたりの登録費用。
35$
銀行振込の場合 ¥5,250(CD Baby Japanでの対応)
・バーコード取得
CDを一般の流通にのせる場合はいわゆる「バーコード」が必要です。iTSなどでデジタル配信する場合にも必要です。
バーコードは日本では「JANコード」、欧州では「EANコード」、北米では「UPCコード」などと呼ばれ、各コードは共通化されています。(実際はもうちょっと複雑な作りだけど、この記事とはあまり関係がないので割愛)
国内でJANコードを申請するには全国の商工会議所などで登録する必要があります。
コード登録:JANコード - 財団法人流通システム開発センター
費用は三年間で¥10,500からです。意外に必要な費用が安いので驚く人が多いようです。
ただし、三年ごとに更新しなければならないので、個人の場合は特に注意が必要です。更新を怠った場合CDを新たに流通させる事が出来なくなります。
JANコードの申請は面倒だ、またはそもそもJANコードを申請する対象ではない個人の場合はどうすれば良いのでしょうか。
ご安心召され。
「CD Baby」があなたの代わりにバーコードを用意してくれます。
この場合のバーコードはJANコードではなく主に北米で用いられているUPCコードになりますが、バーコードとしての機能はJANコードと何ら変わる事はありません。「CD Baby」に取得代行を依頼した場合、更新費用は必要ありません。
費用はCD一枚あたり20$で、銀行振込の場合は¥2,100です。
アルバム一枚あたりのUPCコード取得代行費用。
20$
銀行振込の場合 ¥2,100(CD Baby Japanでの対応)
・ISRCコード発行
一般に流通する音楽には一曲ごとに、曲を特定するための目印としてISRCコードというものがついています。デジタル配信の場合はこれがなくては配信が出来ません。通常は権利保持者(音楽出版社とかレコードメーカーとか)が取得するのですが、「CD Baby」の場合、無料で発行してくれます。国内で個人が取得する場合は数百円以上必要になります。
ISRCコードの発行。
無料
・CDの送料
「CD Baby」はCDの販売代行の企業です。ですから、「CD Baby」に販売を委託するCDを郵送しなくてはなりません。新たなCDを初めて郵送する場合は五枚のCDを郵送します。CDはCD-Rでかまいませんが、CDケースやジャケットなどを備えた体裁にしましょう。ジャケットは手作りでなんら問題ありません。
詳しくは「CD Baby」のサイトで確認してください。
なお、「CD Baby」でCDの販売を委託した場合、amazon.comでもCDが販売されるようになります。
郵送料は数百円から1,000円程度です。(事業者により異なります)
「CD Baby」への送料。
数百円から¥1,000程度
CD Babyを利用してアルバム一枚をiTunes Storeでオリジナル曲を販売するための費用
(1$あたり¥100とする)
CD Babyへの登録料 35$
UPCコード取得代行費用 20$
ISRCコード発行費用 無料
CD BabyへのCD送料 ¥1,000程度
合計 ¥6,500円程度
となります。CD Baby Japanに登録代行を依頼した場合でも¥8,350程度です。
これにCD5枚の製作代金を足しても一万円でおつりがくる事でしょう。
仮に、曲が10曲収録されたアルバムを国内の業者で配信しようとした場合、仮に一曲あたり3,000円の登録代行費用だとしても30,000円がかかる事になります。それでいて、原盤使用料は……
国内の業者にはもっとがんばっていただきたいところです。
◯CD Babyを利用する際の注意点。
良い事尽くめの「CD Baby」ですが、気をつけなくてはならない事もあります。
CD Babyは海外の会社
いうまでもなく、「CD Baby」はアメリカのオレゴン州にある会社です。
日本とは全く商慣習が違います。日本の会社なら「なぁなぁ」ですむような事柄は基本的にありません。当たり前の話ですが、双方の利益とよりよい関係のために契約事項はよく確認しましょう。
また、「CD Baby」との連絡は英語になることもありますが、中学校程度の英語力があれば何とかなるのではないかと思います。英和辞典を押し入れから引っ張りだしておきましょう。
カバー曲は避けた方が無難
これは「CD Baby」を利用する際だけの話ではないのですが、なかには大好きな歌手の曲のカバーを手がけたいと思う方もいるかと思います。
しかし、個人が元の曲の権利者(作曲家・編曲家・作詞家・演奏家・その他)すべてから了承を得るのはなかなか大変な事です。
仮に、すべての権利者がJASRACなどの管理団体に管理を委託していたとしても、管理団体から許可を得るためには時間とお金が必要になります。特別な理由がない限り、カバー曲は避けた方が無難です。
なお、念のために書き加えるならば、ワンフレーズや一小節の利用であっても原曲の権利者の許可が必要になります。
同人音楽をiTSなどでおおっぴらに販売したいと考えている方はご注意を。
販売を断られるCDもある
犯罪に加担したり反社会的な内容の含まれたCDが販売を断られるのは当然ですが、そのほかにも商標権を侵害する可能性のあるCDも販売を断られるケースがあるようです。
実例としては、数年前、以前「SN EASE」の主題歌に用いていた「ネットジープ」の含まれているCDの販売を断られた事がありました。
これはかなりまれなケースだと思います、現在では対応が異なるかもしれませんが、このような事もあり得ると気に留めておいてください。
(このときは、わたしがゴタゴタしたりしているうちに他の権利者と連絡が取れなくなったりして……あぁ……orz)
さて、ざっと書いてみましたがiTSでオリジナル曲を販売する方法は一つではありません。
しかし、わたし個人としては、やはり「CD Baby」を利用するのが時間的にも金銭的にも有利なのではないかと思います。
英語でのやり取りなどもありますが、個人が利用できてこれほど簡単で克つ低価格な中間業者は国内ではちょっと見当たりません。
海外に目を向ければより安価な業者もありますが、日本語での詳細な案内があるのは「CD Baby」くらいです。
国内の業者の中にも、いずれは「CD Baby」並のサービスの質と料金を提供する業者が出てくるかもしれませんが(というか、出てきて欲しい)、当面は「CD Baby」有利というところでしょうか。
いまや、個人がiTSなどのデジタル音楽配信業者で自分の曲を配信する事はとても容易な時代です。
この記事が、あなたの表現を広める助けになれば幸いです。
そしてどうか、あなたの曲にわたしがiTSで出会えますように。
11月18日追記:
国内の業者では「monster.fm」が、がんばっているみたいです。
「アイフォーンゲームズ個人開発者互恵会鹿児島支部(仮)」のネタとして、後日「CD Baby」「monster.fm」そして「TuneCore」の比較をしてみますね。
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コメント
他の国内の業者では(マイナーかもしれませんが)「マインドピース」のサービスが CD Baby 並と聞いたことがあります。
投稿: アーティスト | 2008年11月20日 (木) 14時24分
「マインドピース」は年次契約方式なので「TuneCore」と同じサービス形態ですね。
比較の際に「マインドピース」にも登場してもらおうかな。
投稿: 阿多永彩 | 2008年11月20日 (木) 16時37分
とてもわかりやすいですね。助かりました。
投稿: o_O | 2010年12月14日 (火) 01時09分